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株式会社チューガイ(兵庫県神戸市)

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株式会社チューガイ
(兵庫県神戸市)

【写真】松井さん 株式会社チューガイは1973年(昭和48年)設立。神戸市を中心に兵庫県内でシロアリ及び一般害虫の防除施工などを行っている。
社員数は約40名(2023年1月現在)。
今回は、専務取締役の松井知子さんからお話を伺った。

自然と社員同士で話ができるようにするための工夫をこらして、チームワークを高めている

まず、社内のコミュニケーション促進のための取組みについて、お話を伺った。

「私たちの仕事は、お客様の大切な財産である家屋や建築物を守ることです。創業者のシロアリ研究から始まっている当社は、シロアリのエキスパートとしての責任と誠意、専門家としての知識と経験、半世紀にわたり培ってきた技術を持って防除を行い、快適な床下環境を提供することを第一に考えています。一般家庭だけではなく、松の木のシロアリ防除施工、国宝姫路城におけるシロアリ予防施工を実施しています。施工実績は15万件以上と業界トップクラスです。」

「施工はすべて自社にて請け負っています。現場の作業員は知識と経験が豊富な勤続30年を超えるベテランを中心に、70代から若手は20代まで約25名います。ほとんどが中途入社ですので、学歴や過去の職業経験、職種もさまざまです。幅広い年代でチームとなって作業を行うにあたっては、薬剤を使用したり危険を伴う作業もあったりしますので、安全のためにも社員の円滑なコミュニケーションに基づくチームワークが大事だと考えています。」

「当社では、全体会議を年4回行っています(【写真1】参照)。工務や営業の進捗状況、施工時の薬剤使用方法の研修など、1日かけて行います。その中で、社内のコミュニケーション促進の取組みとして、2019年頃からゲーム形式のワークショップを組み込んでいます。1チーム5~6人で、職種や年代がバラバラになるようにしています。私が準備したなぞなぞやだまし絵などを、皆でワイワイ話し合いながら必死に考え、チームで取り組んでくれています。日頃おとなしい社員も、真剣に考える中で『こうじゃないですか』など自然と言葉が出てきています。」

「ゲームの時間を通じて話しやすい下地ができた後は、施工時の事故の防ぎ方や安全対策など、仕事に関する議題について、同じチームで1時間近く話し合うワークショップを行います。まず、全員が一人ずつ自分の意見を紙に記入してチームリーダーに提出します。それをもとに、チームリーダーが中心となって話し合いを進め、全員が発言するようにしています。チームごとに全員の前で発表をして発表の最後に『以上です』と発言をしたら、必ず社員全員で拍手をして終わるルールにしています。以前は、同じ人ばかり話したり、ドキドキして何も話せない人がいたりしたのですが、ゲームの時間を取り入れてからは、仕事に関する意見も全員が積極的に出してくれるようになりました。」


【写真1】全体会議の様子(2022年)

「ゲームも、“謎解きミッション”と称して、何問も謎解きをしながら答えを導き出したり、以前は謎解きをして、最後のゴール地点で私が隠れて待っているといったひねった仕掛けもしたりしています。謎解きを難しくしてしまったため、ゴール地点に来られないチームがいて困った思いをしたこともありますが…。また、以前はチームの構成を全体会議のたびに変えていたのですが、2年前からは1年間同じチームでワークショップを行う方式に変更しました。ゲームではチーム対抗戦となりますので、『次回さらに頑張ろう』とチームワークが深まりますし、仕事に関する話し合いでも前回を踏まえた話ができるので議論の活性化につながっています。職場の風通しをよくして、社員同士で自然と話ができるようにするため、私自身も楽しみながら、いろいろな工夫を考え試しながら進めています。」

経営者が社員の様子をこまめに把握し、必要に応じて直接話をする機会を作ったり周囲のフォロー体制を整えたりしている

次に、社員の相談対応や健康経営の取組みに関して、お話を伺った。

「当社は本社以外に3つの営業所があるのですが、定期的に各営業所をまわって社員の話を聴くことを心がけています。12月はクリスマスケーキを買っていくなど季節に合わせた工夫をしています。美味しいものを食べると、皆笑顔で口数が増えますよね。そこで社員の顔色や様子をよく見ながら、自然と雑談できるようにしています。」

「また、いろいろと思いがたまっているだろうなと思われる社員には、定期的に私から電話をかけて話を聴くことで、ガス抜きの時間を意識的につくるようにしています。気になる社員がいる場合は、その社員にとって話しやすい周囲の人から声をかけてもらうようにしています。私が直接話した方がよさそうな時には、その人が営業所に一人でいる時間を見計らって訪問し、自然な感じで話を聴くこともあります。話の聴き方については以前勉強したことがあり、今も役立っています。」

「健康面での取組みに関しては、2020年から健康診断を全社員に対して年に2回実施しています。健康診断後は、結果をもとに私ができるだけ個人面談をしています。健康面で気になることを雑談的に話しているのですが、最近ようやく自分自身の健康課題に気づく人も増えたように感じています。」

「これらの活動をまとめて、2019年に協会けんぽを通じて“健康宣言”を行い、2020年には“健康経営優良法人(中小規模法人部門)”の認定を受け、今まで4年連続で認定されています。当社の場合、求人情報を出す時に、“健康経営優良法人(中小規模法人部門)”の認定が役に立っています。施工時に薬剤を使うこともありますので、健康面での心配をする方もいます。実際は最近では体に悪影響を与えるほどの危険な薬剤は使用していないのですが、業種としてイメージが悪い部分もあります。そこで、社員が心身共に健康であることを真剣に考えている会社であることを、認定書を通じて発信することができていると思います。」

「こうした取組みの効果もあるのか、最近は自ら途中で離職する社員はほとんどいません。長年、社員旅行やボウリング大会なども行ってきましたが、この会社にいる居心地が良いと言ってくれている社員もいます。社員が長く健康に働き続けていけることが当社の財産だと考えています。」


ボウリング大会(2019年)


城崎への社員旅行(2022年)

【ポイント】

  • ①自然と社員同士で話ができるようにするための工夫をこらして、チームワークを高めている。
  • ②経営者が社員の様子をこまめに把握し、必要に応じて直接話をする機会を作ったり周囲のフォロー体制を整えたりしている。

【取材協力】株式会社チューガイ
(2023年3月掲載)